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総額30億円!4丁の貴重な名器を貸与された精鋭たち
ストラディヴァリ・カルテット 

【出演】
シャオミン・ワン(ヴァイオリン)
セバスティアン・ボーレン(ヴァイオリン)
レヒ・アントニオ・ウジンスキ(ヴィオラ) 
マーヤ・ウェーバー(チェロ)

2017年10月15日(日)14:00開演(13:30開場)
松江市総合文化センター プラバホール
ストラディヴァリウス・カルテット

Program
プログラム

<ベートーヴェン弦楽四重奏曲>
第4番 ハ短調 Op.18, No.4
第11番 ヘ短調 「セリオーソ」 Op.95
第15番 イ短調 Op.132
*都合により曲目など内容を変更する場合がございます。予めご了承ください。  

Concert Guide
コンサートガイド

 ベートーヴェンは、弦楽四重奏曲を書くにあたって、先輩のハイドンやモーツァルトの作品を書き写すという方法で、非常に丹念に研究したことで知られている。もう既にこの偉大な先輩たちは、このジャンルを自らの芸術性を発揮させる場として完成させていたからだ。

 それに加え、彼にはチェロ奏者、ズメシュカルやヴァイオリン奏者のアメンダなど優れた弦楽器奏者の友人がいたことも、弦楽四重奏曲への挑戦を後押しした。

 ピアノ曲や管弦楽曲と違い、このジャンルでは大衆性を念頭に置くこと無く、心の欲求を忠実に描かんとしたため、結果的により先鋭的な手法を用いることになった。だから死後190年たった現代で聴くにあたっても、斬新さを損なっていない曲が殆どである。

 弦楽四重奏のみが持っている強いエネルギー、他のジャンルには代えがたいものがあり、同じCDを聴いても毎回印象が違い、心が高揚し、脳が自然に反応し、様々な情緒を呼び覚ましてくれる。

 音楽に翻弄される喜び。是非ともこの深みにハマってほしい。

プラバホール芸術監督 長岡愼
長岡愼

チケット

全席指定(税込)
【S席】一般4,900円/学生2,500円
【A席】一般4,500円/学生2,300円
【B席】一般3,500円/学生1,800円
【C席】一般1,900円/学生1,000円

個別発売 8月6日(日)
※詳細はこちらからご覧ください チケット購入

*上記「チケット購入」画面でお知らせしているプレイガイドのほかに、下記プレイガイドでも販売しています。
 ◆雲南市加茂文化ホール ラメール ℡0854-49-8500 
  
※コンピューターの画面で座席は選べません

*障がい者の方とその介助者は、1割引となります。チケット購入時に手帳をご提示下さい。
*未就学児の入場はできません。おやこ室か託児をご利用ください。但し、託児は1週間前までにプラバホールまでご予約下さい。(2歳児~小学2年生・無料)


 <プログラムノート> 

                             長岡 愼(プラバホール芸術監督)
ベートーヴェン(1770-1827)の主要作品の三つの柱と言えば、交響曲とピアノ・ソナタそして弦楽四重奏曲であることは、衆目の一致するところだと思う。面白いことに全17曲書かれた弦楽四重奏曲は、いわゆる創作様式の初期、中期、後期に分散して、しかも数曲ずつまとめて書かれている。更に大衆に阿(おもね)ることなく、自身の芸術的要求の趣くままに作曲したので、それぞれの時期の特質を如実に示している。今回の曲目、第4番は初期(1792-1802)、第11番は中期(1802-1812)、第15番は後期(1812-1827)の作曲だ。どの時期も非常に多様で多彩!「技のデパート」である。今回の曲目を辿(たど)ることにより、ベートーヴェンの進化がより一層実感できると思う。

 よければ、You TubeやCDを聴きながら読んでいただきたい。楽譜の読める方は、スコアをご覧になるとより理解が深められること必至。以下、禁無断転載

 

弦楽四重奏曲第4番 ハ短調 op.18, No.4

 1801年「君に贈った四重奏曲を他人には見せないでください。というのは、私は最近になって、ようやく正しい四重奏曲の書き方がわかったので、君の四重奏曲を書き直してしまったからです。」と友人のヴァイオリン奏者アメンダに書き送っている。 

 自信満々だ。1798年の夏から1800年の夏までにop.18として、ハイドンの時代の慣習に倣い6曲を完成。曲調は異なるものの、名旋律の宝庫である。他の5曲は長調だが、第4番は「ハ短調」という第5交響曲と同じ調性で書かれていて、明暗のコントラストが優れた名曲である。

Ⅰ楽章 Allegro ma non tanto ハ短調、4分の4拍子

 暗い情熱が疾走する第1主題で開始。「繋ぎ」で現れるffの和音打撃に、第1ヴァイオリンの合いの手に続く経過部は転調を繰り返し長調に変化。第2ヴァイオリンで第1主題の素材を長調にしたような第2主題が呈示され発展していく。第1ヴァイオリンの駆け上がる「走句」に続き、終わるかなぁと思わせて続く「フェイント」を経て、呈示部は終わり、反復する。展開部は5度高く、ト短調で第1ヴァイオリンが第1主題を演奏。彼一流の展開部、ぐいぐい来る。「繋ぎ」を経て第2主題は、へ長調でチェロが明るく奏でる。短調に変化し、密やかな進行。第1主題が再現され、育った「繋ぎ」を経て第2主題は、第1ヴァイオリンでハ長調に転調し、軽やかな進行。「走句」「フェイント」を経てハ短調に戻り、さらに熱を帯び、第1主題で堂々と結ぶ。(約8分)

Ⅱ楽章 Scherzo,Andante scherzoso quasi Allegretto ハ長調、8分の3拍子

 スケルツオは通常複合3部形式だが、ここでは後に言うソナタ形式で書かれている。まず軽妙で優雅な第1主題が第2ヴァイオリンで弾かれフーガで進行。チェロから順次重なっていく経過部を経て、第2主題が第1ヴァイオリンで弾かれるが情緒的に対照的では無い。これも気ままに多声的に扱われ、ppで呈示部は終わり、反復する。聴き易く親しみやすい主題だ。展開部や再現部の途中に出てくる、極めて対照的な柔らかな悲しみが印象的。コーダは第1主題で結ぶが、呈示部と同様、とてもあっさりと終わる。(約7分)

Ⅲ楽章 Menuetto,Allegretto ハ短調、4分の3拍子 

 メヌエットとはしているが、デモーニッシュな気分を醸し出している。優雅でスケルツオらしくない前楽章もそうだが、ここでも既成概念を反故にしている。間には挟まれたトリオは、打って変わって高雅な気分。Ⅰ楽章とⅡ楽章の気分を連結したようだ。(約3分) 

Ⅳ楽章 Allegro ハ短調、2分の2拍子

 敏捷なロンド主題で開始。次に現れる第2ヴァイオリンで歌われる第2主題は長調で、明るくのびやか。回帰したロンド主題は、運動性高く変奏。次のチェロから順次上がっていく動機から開始される第3主題は、ハ長調で朗らか。三度(みたび)ロンド主題に回帰し激しく変奏する。第2主題に移り、華やかな変奏。ロンド主題に回帰し、転調で盛り上げていく。第1ヴァイオリンpのフェルマータの後、突如ロンド主題がプレスティッシモff現れ派手な変奏をするうちに、ロンド主題の動機がハ長調で現れる。最後はffのユニゾンで第3主題開始の動機で颯爽と閉じる。(約4分)

弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」 ヘ短調op.95

 「セリオーソ」とは厳粛とか真剣といった意味で、この曲のⅢ楽章の表情記号にも用いられているが、それ自体パラドックスであろう。彼は「注意。この四重奏曲は専門家の小サークルのために書かれたもので、決して公衆の前で演奏してはいけません」と手紙に書き残している。これはもともと彼のこのジャンルでの作曲態度であるので、わざわざ改めて書き送るというのは、ひょっとして失恋がこれを書かしめたと思われたくなかったのであろうか。1810年に作曲された、カタストロフィーな曲であるが…。

Ⅰ楽章 Allegro con brio ヘ短調、4分の4拍子

 ユニゾンで衝撃的な第1主題が始まる。この主題は沈黙を挟み、凝縮と律動の二つの動機から出来ており、楽章の中心となっている。牙を剝(む)く凄烈(せいれつ)と慰撫(いぶ)する清澄の、ない交ぜと交代が鮮やか。第2主題はヴィオラに現われ、チェロ、第2ヴァイオリンに受け継がれていく。頭を掻き毟(むし)る様な絶望と諦観が幾度も激しく交代し、結尾は諦観が支配する。(約4分)

Ⅱ楽章 Allegretto ma non troppo ニ長調、4分の2拍子

 チェロのモノローグで開始。第1ヴァイオリンで粛々と奏されるのが第1主題で時々歪(ひず)む。次いでヴィオラでの第2主題に続く。フーガや各動機が絡み合い、神秘的な宍道湖の移ろいゆく冬空のようだ。モノローグから展開部が始まるが、第2主題のみが気ままに変貌する。三度(みたび)モノローグから再現されるが両主題とも著しく姿を変え進行する。一旦結尾するが、歪の和音がフェルマータされ、同じ和音ですぐにⅢ楽章が開始される。(約7分)

Ⅲ楽章 Allegro assai vivace ma serioso ヘ短調、4分の3拍子

 律動的な第1主題の呈示は、Ⅰ楽章と同様沈黙が緊迫感を生む。長調に転調し、第1ヴァイオリンのオブリガート付で、第2ヴァイオリン以下で慰めるように奏されるのが第2主題。第1主題の再現後の破天荒な炸裂が、沈みがちな気分に活を入れているかのようである。最後は急に早くなり第1主題が短縮された形で三度(みたび)現われ、慌ただしく結ぶ。(約4分)

Ⅳ楽章 序奏:Larghetto espressivo  ヘ短調、4分の2拍子 

    主部:Allegretto agitato  ヘ短調、8分の6拍子 

 込み上げる思いを訴える8小節の序奏で始まる。主部は焦燥感のあるロンド主題で開始。ppのフェルマータの後、より感情をこめて変奏される。怒りを叩きつけるような経過部を経て、第1ヴァイオリンの16分音符の駆け上がりに続いて、第2ヴァイオリンによって哀しみをぶつけるような第2主題が呈示されるが、7小節でロンド主題に取って代わられる。次に現れる第2主題は僅か4小節。不規則な展開が続き、整理されないやりきれなさを見せている。終止に向けて盛り上がるが、力を弱めpppで止る。全4楽章見事な統一かと思いきや、今までの気分と全く無関係なコーダが始まってしまう。きわめて明るくさわやかに駆け抜ける…カタルシスだ。(5)

 弦楽四重奏の作曲はこれ以後14年間の空白が有り、第九交響曲の後1824年から、名高い後期の6曲が作曲される。
                            

弦楽四重奏曲第15番 イ短調op.132

  ベートーヴェンは1825年から亡くなるまでの2年間、弦楽四重奏曲しか完成させていない。この曲は当初4楽章で構成しようと書き進めていたが、持病の腸カタルを悪化させ、数週間床に就くことになり、中止せざるを得なくなった。幸いに病状は好転し、作曲を再開するのだが、なんとこの体験を、Ⅲ楽章として挿入しているのだ。類型的なものを排し、何ものにも囚われない彼岸の境地に達した名曲だが、難解と知られている後期の曲の中では明快。よく演奏されている。

Ⅰ楽章 序奏:Assai sostenuto イ短調、2分の2拍子

     主部:Allegro イ短調、4分の4拍子

 序奏は8小節。チェロの2分音符で密やかに開始され、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンと重なっていく。主部は第1ヴァイオリンの16分音符の走句が2小節あって、チェロの高音で第1主題の断片が現れ第1ヴァイオリンに引き継がれる。序と同じ悲痛な気分が続くが、真剣に何かを追求するようだ。経過部で長調に変化しはじめて、盛り上がり、3連音符を伴った第2ヴァイオリンによる柔らかな第2主題が現れ、自在に変貌させる。短調に戻り序と第1主題の奔放な展開がみられ緊迫感を生んでいく。序がffで再現された後、第1ヴァイオリンの走句に続いて、第1主題、次いで第2主題がチェロで再現され、さらに発展する。次に第1主題が出てくる所がコーダ。ここでは第1主題が主で、ヴィオラで弾かれる第2主題は8小節で第1主題に取って代わられ自在に発展していく。終止はいったん沈静した後、苦悩に満ちて結ぶ。(約9分)

Ⅱ楽章 Allegro ma non tanto イ長調 4分の3拍子

 今までスケルツオ、メヌエット、セリオーソと三つ、3拍子の中間楽章があったが、この閑話休題的なパターンでも常に前作に倣うことがない。生き生きと揺れ動いてユーモラスなのが新しい。複合3部形式で書かれ、中間部冒頭は不思議な色彩が美しく、続いて懐古的な舞曲や、荒々しい踊りに、アラ・ブレーヴェまで現れ、実に多彩。(約8分) 

Ⅲ楽章 Molto adagio リディア旋法、4分の4拍子 ―― Andante  ニ長調、8分の3拍子

 彼自身、楽章の始めに「病癒えたものの神に対する聖なる感謝の歌。リディア旋法による」と書いている。

 清澄なコラールが5回、響きを変えて現れる。「新しき力を感じつつ」と注のあるアンダンテに転じ、溌剌とした歌を穏やかに奏でる。この後、コラールの変奏的再現、アンダンテの変奏的再現から、「最も深い情緒を持って」と記された最後のコラールに入り、拡大と変奏的再現と終止となる。浄化された天上の響きを、恐らく耳で確かめることなく、頭の中だけで構築し、楽譜に認(したた)める。正に神業である。(約15分)

Ⅳ楽章 Alla marcia,assai vivace イ長調、4分の4拍子

 「新しき力」の喜びに満ちた主題が、二つそれぞれ繰り返されると、イ短調に転調する。第1ヴァイオリンによって、オペラ的なレチタティーヴォ風な旋律が弾かれ、そのままⅤ楽章に続く。(約2分)

Ⅴ楽章 Allegro appassionato イ短調、4分の3拍子

 2小節の前奏の後、第1ヴァイオリンで熱情的に弾かれるのが、ロンド主題である。Ⅰ楽章と同様な真剣さに戻っている。経過部で律動的な動機や、分解された主題が組み合わされて、大胆に発展していくと、pで長調に転調し、トリルを伴うト長調の軽やかな第2主題が第1ヴァイオリンに現れる。次第に短調になり激しく展開する。ディミヌエンドした後、ロンド主題は2度回帰しそれぞれ活発に変奏する。次に第2主題が出るのだが、漸次短調に変化し激しく推移する。ミステリアスな進行の後、分解されたロンド主題の素材が、再構築される過程を見せていく。終止はアッチェレランドし、チェロの高音でロンド主題がプレストで回帰し、第1ヴァイオリンが重なっていく。やがてイ長調に転じ、明るく終結されていく。第九の終楽章に予定されていたという。(約6分)


※公演当日のプログラムには、字数の都合上、短縮して掲載します。

Profile
プロフィール

ストラディヴァリ・カルテット Stradivari Quartett
シャオミン・ワン(中国)を中心に、ゼバスティアン・ボーレン(スイス)、レヒ・アントニオ・ウジンスキ(イタリア)、マーヤ·ウェーバー(スイス)をメンバーとし、チューリヒを拠点に活動する弦楽四重奏団。日本でも2010年、12年、16年の公演で絶賛を博している。世界で最も有名なストラディヴァリウス・コレクションを持つハビスロイティンガー・ストラディヴァリウス財団の支援を受け、同財団から貸与されたストラディヴァリウスを使用している。

ストラディヴァリウス・カルテット
 

シャオミン·ワン(ヴァイオリン) Xiaoming Wang
使用楽器「アウレア」 “Aurea”
   北京中央音楽院教授のシュウ・ルーとウィーンのゲアハルト・シュルツに師事。現在UBSヴェルビエ・オーケストラとUBS室内管弦楽団のコンサートマスターを務めているほか、チューリヒ歌劇場管弦楽団のセカンド・コンサートマスターも務めている。
シャオミン·ワン(ヴァイオリン)

ゼバスティアン・ボーレン(ヴァイオリン) Sebastian Bohren
使用楽器「ジョージ王」 “King George”
   スイス生まれ。8歳よりヴァイオリンを習い始める。チューリヒ音楽院でイェンス・レーマンに、その後ザハール・ブロン、アナ・チュマチェンコに師事する。数々のコンクールで受賞し、ソリストとしてウィーン・コンツェルトハウス、チューリヒ・トーンハレ等で、チューリヒ室内管、ルツェルン室内管等と共演している。
ゼバスティアン・ボーレン(ヴァイオリン)

レヒ·アントニオ·ウジンスキ(ヴィオラ)  Lech Antonio Uszynski
使用楽器「ギブソン」“Gibson”
   ポーランドの音楽一家のもと、イタリアに生まれる。幼少期からヴィオラとヴァイオリンを習い始める。スイス青少年音楽コンクールでヴィオラとヴァイオリンの両部門で優勝したのち、チューリヒでアナ・チュマチェンコとザハール・ブロンに師事する。ルドルフ・バルシャイよりヴィオラ演奏の霊感を受ける。
レヒ·アントニオ·ウジンスキ(ヴィオラ)

マーヤ·ウェーバー (チェロ)  Maja Weber
使用楽器「ボナミィ・ドブレー・スッジア」 “Bonamy Dobree- Suggia”
   フラン・エルメルソン教授、ヴァルター・レヴィン教授、アルバン・ベルク弦楽四重奏団に薫陶を受ける。スイスの合奏団アルス・アマータ・チューリヒのメンバー。アマール・カルテットの創設メンバーとして、ブーベンロイト・コンクール第2位、ジュネーヴ、グラーツの国際コンクールで2位受賞。ロンドンでミレニアム・アウォードを受賞している。
マーヤ·ウェーバー (チェロ)

臨時バス

公演終了後プラバホール前より松江駅行きの臨時バスが発車いたします。

アクセス/駐車場

松江市総合文化センターと松江生協病院の有料駐車場をご利用の方は、駐車場をプラバの認証機に通すと、一律200円になります。なお、台数に限りがありますので、できるだけ公共交通機関をご利用ください。

主催

松江市・松江市教育委員会・NPO法人松江音楽協会