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プラバホールのパイプオルガンについて

 

 1985年秋完成したプラバホールの画龍点晴の点が今、パイプオルガンという形で設置され、完全になりました。
 楽器には、それがどんな楽器であれ最良の音を出す音場(空間)というものが必要です。パイプオルガンの場合には莫大な作品の多くが西欧の教会で創作されており、長い残響時間が必要と言われます。
 わが国では、近年公共ホールでもこのプラバホールのように音楽を中心としたホールの建設が行われ、パイプオルガンも設置されつつありますがその残響が満席時で2秒という事は、オルガンを設置し、その音の効果を失わない限度という事で、中国地方では始めての公共ホールでのオルガンコンサートが可能になったわけです。
 パイプオルガンは、理想的な位置に置く事が出来ました。それはホール正面であり、オルガンが必要とする高さも十分にとれました。又、壁の中に埋め込んだ状態ではなく、オルガンが独立して設置してあります。こうした理想的な場所に設置が可能になりました事は、建設に関係を持たれた各方面の方々の御理解が得られたからだと思います。
 ルドルフ・フォン・ベッケラート社の故フォン・ベッケラート氏は、私自身西ドイツで以前御会いした事もありますが、とても柔和な方で、ドイツ人でありながら、フランスヘも長くオルガンの研究の為に滞在されており、その結果が現在のベッケラート社の音色に生きており、その技術を受け継いでいる現在のスコップ氏は、見事に師の音色を再現しています。
 パイプオルガンは、三段の手鍵盤と足鍵盤で構成されており、独立した音色の数として33種類(ストップ;パイプ総数2,498本)を持っており、オルガニストの方々は、この音色を演奏する曲目に従って組合せを作り、場合によっては、その組合せをメモリー出来るコンビネーションシステムを使い、音楽表現をします。
 この素晴しい響きが松江市民及び近郊の人々の音楽文化向上に役立つ事を心から願います。

1986年5月
ヤマハ株式会社 パイプオルガン技師
津田 桁雄

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プラバホールのパイプオルガン 製作/ドイツ・ベッケラート社
ハンブルグにある老舗のオルガン製造工房。バロック時代のオルガン製造家シュニットガーの名器の修復を手がけていることで有名です。
パイプ本数/2498本
一番長いパイプは約6m、一番短いパイプは1cm。金属のパイプは錫と鉛の合金、木製のパイプはオーク材。

ストップ数/33ストップ
音色の違う33種類のパイプ群が本体の中に入っています。演奏台の左右に見える白く丸いノブ(ストップ)を操作して、音色を組み合わせていきます。鍵盤同志をつないで音を出す装置もあり、実際にはノブは41個あります。
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演奏台/第1~第3鍵盤各58鍵・ペダル鍵盤32鍵
楽器や時代により、鍵盤の数や色やデザイン、素材は変化します。パイプには様々な音の高さもあり、鍵盤は58鍵しかありませんが、音域は実際にはピアノ(88鍵)より広いのです。
  オルガンの中は地下から3階、屋根裏部屋に分かれています。屋根裏部屋には3段鍵盤のパイプが収められており、表のシャッターの開閉によって音量の調節が可能です。


オルガン仕様

ペダル鍵盤
Prinzipal 16’
Subbass 16’
Oktave 8’
Oktave 4’
Nachthorn 2’
Hintersatz Ⅳ
Posaune 16'
Trompete 8’
Ⅰ/Ped
Ⅱ/Ped
Ⅲ/Ped
第1鍵盤(ポジティフ鍵盤)
Holzgedact 8’
Prinzipal 4’
Rohrflote 4’
Oktave 2’
Larigot 11/3’
Sesquialtera Ⅱ
Scharf Ⅳ
Cromorne 8’
Tremulant
Ⅲ/Ⅰ
第2鍵盤(主鍵盤)
Bordum 16’
Prinzipal 8’
Spitzflote 8’
Oktave 4’
Hohlflote 4’
Quinte 22/3’
Oktave 2’
Mixtur Ⅴ
Trompete 8’
Ⅲ/Ⅱ
Ⅰ/Ⅱ
第3鍵盤(スウェル鍵盤)
Koppelflote 8’
Gamba 8’
Prinzipal 4’
Nasat 22/3’
Waldflote 2’
Terz 13/5’
Mixtur Ⅴ
Oboe 8’
Tremulant

ジェネラル・コンビネーション:6 メカニカル・キーアクション エレクトリック・ストップアクション