ぷれこんさあと

【2016年12月-2017年1月】

広島交響楽団島根定期

 プラバホールは1984年7月に着工、1年5ヶ月後の翌年11月に竣工。同じ年に建設された、東京のサントリーホールを押さえて、建築業界最高の栄誉である「建築業界賞」を受賞。クラシック音楽を聴くのに心地よい「音のデザイン」がなされた建物と施設が高く評価されたのである。内装は欧米の古典的なデザインを志向し天井、壁面共に木材を使用。吹上菱目天井と波打つような列柱壁面の凹凸によって陰影をつけ、音を一つの方向でなく複数の方向に返して、柔らかく深みのある残響が実現した。

 プラバ音楽祭で、この優れた音響効果に相応しいアーティストを選別しようとすると必然的に、国内外の超一流の演奏家ということになる。開館して30年、皆さんの心に残った演奏家はどなただろうか。

 お呼びした全てのジャンルの演奏家に「持って帰りたいほど素晴らしい」とか「非常に演奏しやすい」と絶賛を頂いている。特にヨーロッパから来られた方に多いが、舞台で僅か数分音出ししただけで、「このホールは、長めに奏するとか、固めにとか、色々調整に手間取ることが全くない。そこに無駄な時間を費やし疲れることもないし、自分の音楽を思うがままにできる」と喜ばれている。

 以前は年7~8回開催できたが、予算が減っても質を落とすわけにいかないので、昨今は残念ながら、5回が限度である。だが様々な工夫と努力で、音楽祭以外の共催でコンサートを行い、年間回数と幅広いジャンルの維持を果たしている。

高関健

 その良い例が、来年3月5日の広島交響楽団島根定期である。今回の指揮は高関健(たかせきけん)。なんと彼は1986年6月1日のプラバホール杮落し<第九>公演を指揮しているのである。しかも彼はその年に、30歳の若手のホープとして広響第三代音楽監督・常任指揮者に就任している。なんとも素晴らしいご縁である。

 彼の指揮は何度も経験したが、極めて真摯に楽譜を読み込む解釈には定評があり、楽員の自主性も損なうことがないので、非常に質の高い演奏が期待できる。

 ピアノの反田恭平(そりたきょうへい)は、2012年に高校生としては11年ぶりに日本音楽コンクールで優勝、2015年7月にCDデビューを果たし、瞬く間に時代の寵児となった逸材だ。今夏の、浜離宮朝日ホールでの“3夜連続リサイタル”はすぐに完売。急遽追加された“3公演”も売り切り、なんと 全6公演がすべて満席!約3,300枚のチケットが完売した超人気ソリストだ。10月には人気テレビ番組「情熱大陸」で活躍ぶりが取り上げられた。曲目は得意のラフマニノフの協奏曲、私は東京での演奏を聴いたが、人気を裏付ける素晴らしいものであった。この機会を逃す手はない。

 

プラバホール芸術監督 長岡 愼

 

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