ぷれこんさあと

【2018年8月-9月】

ピアノ!ピアノ!ピアノ!

 5月15日に14歳の誕生日を迎えたばかりの、奥井紫麻。公演当日朝、9時過ぎに来館。11時から会場練習という予定であったので、ホールのピアノは調律中。なので、別室での練習を開始。それからほぼ休みなく、午後1時過ぎまで弾き続けていた。流石天才少女。細く華奢な身体なのに、弾けば弾くほど元気が出るのであろう。練習後「とてもいいホール!それにピアノも弾きやすいので、楽しく弾けそうです」とニコニコして語っていた。

 公演は、最初からなんとも心地良い音が鳴り響き、当日のお天気の様に爽快だった。何の衒(てら)いもなく、楽しそうに弾き、秩序調和が完璧に保たれていた。経験や年齢と共に霊感が育つであろう近い将来に、また聴いてみたい逸材であった。

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 8月25日に登場する反田恭平。切れ味鋭い演奏で定評のある彼が、今回挑戦するのは何と、ベートーヴェンの3大ピアノ・ソナタ「悲愴」「月光」「熱情」!この3大名曲、CDなどのカップリングは多くあるが、実演でいっぺんに聴けることはそう多くはない。この機会を逃す手はない。

 更に一曲目に弾かれる「創作主題による32の変奏曲ハ短調WoO.80」にも大注目だ。WoOとは、作品番号(Op.)外という意味で、何故か出版時に作品番号がつけられなかったのだ。作曲されたのは、「熱情」の後、1806年とされている。You Tubeで検索するとかなりの量の、過去の巨匠たちの録音・録画がヒットする。

 主題は僅か8小節。同じく8小節の変奏曲が31曲も続き、実に目まぐるしく、エキサイティングに進行する。最後の第32変奏だけは、50小節もあり、総まとめの様相を呈していて、充実度が高い。「運命」などの名作・大作揃いの、勇壮なハ短調で書かれ、彼の個性を如実に示した曲としても名高い。しかも得意とする変奏曲、面白くないはずがない。演奏時間は奏者によって、大幅に違い、7分から13分ぐらいまである。実に多種多様な解釈ができる曲 なのだろう。今回の反田の演奏はいかがであろうか。実に興味深い。

 3大ソナタの演奏も、全く不安の無い技量から生み出される、感動とエネルギーに満ちた演奏が期待できることはもちろんだ。

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 続いて9月17日にはアレッシオ・バックス。40代のイケメン登場だ。曲目は優美この上ないイタリア・バロックの名曲を、バッハラフマニノフが編曲したものに、ユニークな現代曲もあり、メインはリストの超絶技巧曲。とても多面的だが、彼の祖国イタリアへの愛がメインコンセプトというから、一本筋が通っている。彼のセンスもイケメンだ。映像資料を聴くと、自然な歌心と知性のバランスが絶妙だ。繊細な美音から紡ぎ出される音楽は、押しつけがましさがなく快適。「包容力が素敵。私の方から飛び込みたくなるわ」とある女性ファンが語っていた。 

 

プラバホール 芸術監督 長岡 愼

長岡 愼

 

平成30年度 第33回プラバ音楽祭

 

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