ぷれこんさあと

 【2020年6月-7月】

 

サン=サーンスはギフテッド!? 

ギフテッドと言う言葉をご存知だろうか。NHKスペシャルなどの特集番組によると、主にIQ130以上の天才児を表しているという。私のような凡人にとっては羨ましい限りだが、何かと困りごとがあるようだ。

大多数の人が、1週間以上かかるようなことが、ほんの数時間で出来てしまう。だから忍耐力がつかない。他人と協力しお互いが補うようなこともないので、協調性など生まれようがない。思いやりやいたわりなど無縁で、傲慢かつ非常識。だから両親や先生など、周りの大人から理解され難く孤立する。学校には行けず、不登校になり、やがて引き籠りになる例も…もったいないことである。

 この傾向が歴史上大作曲家と云われる方々にも。だが音楽が彼らを救ったのだ。

 その中の一人が、フランスの作曲家サン=サーンス(1835-1921)だと思う。そう、7月12日の広響の演奏会で演奏される、交響曲第3番「オルガン」の作曲者である。

 彼は皮肉屋で有名。何事もチクリと一言云わないと気が済まない。音楽以外にも非常に多彩な才能を発揮していたが、すごく嫌われていた。

とても有名なエピソードがある。当時ドイツで大変人気があり、大作曲家の地位を築いていたワグナーを「私は彼の作品を、奇妙な面は別にして、ことのほか深く賛美している」と評した。この余計な一言で、翌年予定していたドイツを回る演奏旅行が、次々とキャンセルされてしまったのだ。そのむしゃくしゃが収まらないサン=サーンス。そこで創り上げたのがかの有名な「動物の謝肉祭」。仮面をかぶって好き放題ができる謝肉祭にひっかけ、彼の周りの人物や作品を痛烈に皮肉ったのである。流石に懲りたのだろう、初演は内々で行い、生前には「白鳥」以外の演奏と出版を禁じたのである。

だがこれで清々(せいせい)したのであろう。彼は持てる力の全てを注ぎ込んで交響曲第3番「オルガン」を完成させた。極めて優秀なオルガニストでもあった彼のオーケストレーションは、オーケストラ中のオルガンを非常に効果的に用い、豪華絢爛に仕上げている。

近隣でオルガンのある公共ホールはプラバホールだけ。ここでしか聴けないこの交響曲、この機会に是非ご堪能いただきたい。初演から大成功を勝ち得たこの作品、わかりやすい上に大迫力なので、必ずやご満足いただけると思う。

 さてギフテッドであるが、東京大学や日本財団が、異才を発掘し、継続的なサポートを提供することで、将来の日本をリードしイノベーションをもたらす人材を養成することを目指し、2014年12月に「異才発掘プロジェクト ROCKET(Room Of Children with Kokorozashi and Extraordinary Talents)」を始動しているのだ。これでウイルスとの戦いに勝利する人材が育成されんことを願うものである。

プラバホール 芸術監督 長岡 愼

長岡 愼

 

 

|| バックナンバーはこちら ||